諏訪圏の企業と公立大学がタッグを組み、新産業創出に挑戦するために、新会社 ZUKU.tec合同会社 を創設しました。
大学で考案された新材料の製造を地元企業が担い、新しいビジネスに向けて一緒に歩みます。


水酸化ニッケルに替わる新材料を開発
諏訪東京理科大学(小川 賢 准教授)では、安全で低コストな亜鉛を二次電池(蓄電池)に活用するため、新しい正極活物質を開発しました。
この材料は「層状複水酸化物(LDH)」という特殊な構造を持っており、リチウムイオン電池のようにイオンが出入りすることで充放電します。これにより、水溶液中でも安定して亜鉛負極と組み合わせることが可能になりました。

水系インターカレーション型正極活物質
特願2024-174579 Electrochemistry, 93(7), 073001 (2025)
水酸化ニッケルを代替する亜鉛負極電池用正極材料
蓄電池の安全性が議論される中、亜鉛負極電池として乾電池に古くから用いられてきた亜鉛を二次電池にも活用する研究が活発化しています。この亜鉛負極電池に適した新しい正極活物質を提案します。
この材料は、層状複水酸化物と呼ばれる構造を応用したもので、2種類の金属元素を含むホスト層の間に、陰イオンが出入りできることが特徴です。この特徴から、リチウムイオン電池と同様のインターカレーション反応がアルカリ水溶液中でも可能になり、亜鉛負極と好適に組み合わせることができるようになりました。

層状複水酸化物 (LDH)
Layered Double Hydroxide

層状複水酸化物は層構造の2価金属の一部を3価に置換した構造。電気的な中性を保つために層間に陰イオンを保持します。
層間の陰イオンは、様々な種類が挿入可能で、層間距離が広いことから層間水も結晶内に含まれることが知られています。
- 電気自動車(BEV)の補機バッテリーとしたニッケル亜鉛電池の展開(鉛蓄電池の代替)
- HEV用バッテリーとしてニッケル水素電池の正極活物質の代替
- 安全性が重視される場所(建物地下やデータセンター等)の定置型電池への展開
- ポータブル蓄電池等の小型オフグリッド用電源
充電・放電のメカニズム

ホスト層の金属元素の価数変化に応じて、層間アニオンが脱挿入されます
このような特徴を持つ新素材を使った、
新しい蓄電池の開発を目指します!
産学が手を組むことで製品化への課題を解決する
大学のラボが対応できる試作数量では製品検討がまったくできない現実
大学Labの試作は1バッチ数g程度。
製品化を検討する企業(電池メーカーなど)では、本格的に検討するなら数kg以上のサンプル提供がないと難しい。

大学とメーカー企業の間に、ZUKU.tecが入り、地域企業に試作を依頼
大学とメーカー企業で直接やりとりするのではなく、ZUKU.tecが入り、ニーズにあったサンプル試作を地域企業に委託することで、検討に十分な試作が可能に。

Be a Partener
製品化パートナーを求めています
ZUKU.tecでは、公立諏訪東京理科大学で開発した新材料を用いて、安心・安全な蓄電池を開発していただけるパートナーを探しています。
現在、数kg 程度まで活物質材料をご提供できます。サンプル依頼のご要望は下記よりご連絡下さい。
※ 試作内容や数量に応じて費用はご相談させて頂きます。